魅力的に働く保育の職場訪問~東京都・西東京市~
2024年10月9日
夏の空気から秋の気配を感じはじめた9月下旬、西東京市にある学校法人裕学園谷戸幼稚園に伺いました。
園庭から溢れる子どもたちの声は、どろんこ遊び、虫探し、草花あつめ、お店屋さん、わくわくが集まる遊びからでした。
2階建の園舎からも誰かが何かに夢中になっている声…「これは、とちの実、栗じゃないんだよ」「えっ、栗でしょ、だって茶色くてここがとんがってる」「違うんだよ、とちの実、ママと拾ったの!せんせいにも聞いたら、とちの実って言うよ」なかなか面白い二人。両手に「とちの実」をギュッと握りしめた二人は、担任の先生を探しにいきました。
廊下では、男の子たちの集合、どうしたのかな、そろりそろり近づくと「超でっかいカマキリ見たい人―?」「どれくらいでかいの?」「おぉ!すごっ!!結構でかいね」「え、これくらいなら、このまえうちの自転車のタイヤにくっついてたよ」こちらも面白い。
園の生活のなかで、子どもの世界が広がり、一人ひとりがその子のままに暮らしている、そんな午前中です。
小さな道を挟んで、隣の建物では2歳児さんの親子クラス。お母さん同士の子育てトーク、2歳児さんが、笑って、泣いて、走って、また笑って…そんな姿を先生もニコニコと見守ります。
お昼が近づくと、鰹節のいい香り…どこからだろうと、うろうろしていると、花柄やピンク色、素敵なエプロンと三角巾のお母さんたちの姿がありました。大きな鍋、ざる、ボール、カセットコンロに囲まれて「ゴム手しよう!」「え、あるのかなぁ」…ゴム手袋が見当たらない様子を、近くにいた年長組の先生が察知して「ゴム手!ありま~す!あるある、これ使って~」と駆け寄ります。親と先生のoneチーム、見せていただきました。子どもたちの昼食には、自家製茹でたてほうれん草のお浸しが加わり、彩り鮮やか。お母さんたちもお弁当持参で、一緒に昼食タイムです。
多様な人々が交わる谷戸幼稚園、子どもたちも保育者も自然体で、その時間や、人、もの、場と関わる、そんな姿が印象深かったです。
賑やかさを見送った午後、お二人の先生にインタビュー。学年主任Y先生は、就職活動で園見学に訪れた日、直感的にこの園に勤めたい!と感じたそう。三年目のH先生は教育実習中から谷戸幼稚園の保育に魅力を感じ、念願の就職だったそう。
「子どもたちがよく虫を見つけてくるんですけど、名前とか、餌とか、飼育の環境とか、知識不足を感じることも。子どもたちに追いつくために日々勉強です。こういう(夢中になる)子どもたちの様子を保護者にお伝えすると、温かい言葉をかけてくださったり、喜び合ったり。保育の仕事を通して育ちあっている、私自身も一緒に育っていってるんだという感じがします」とH先生。
「辞めたいと思う日もあったけど、そういうときを乗り越えて自分が成長できることが嬉しい。子どもとの関わりが難しいとき、似たようなケースは経験していても同じことって一つもなくて、答えが決まっていないことが面白い。それを越えていくのがこの仕事の醍醐味」とY先生。
子どもたちと関わりながら、保育者である自分を見つめていく、魅力に感じる保育に引き寄せられて、魅力的な保育者になっていく、そんなことを感じたひとときでした。保育の仕事、奥深い。
事業名 『魅力がこだまする保育職Echoモデルの開発』/文部科学省令和6年度「大学等を通じたキャリア形成支援による幼児教育の「職」の魅力向上・発信事業(「職」の魅力向上と人材確保の好循環を生み出すモデル創出事業)